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工場の設備が、そのまま売り物になった — 小ロット OEM をサービスとして立ち上げる

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工場の設備が、そのまま売り物になった — 小ロット OEM をサービスとして立ち上げる

最終更新日: / 公開日:

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自社工場を持っているメーカーには、たいてい遊びがあります。生産ラインの空き時間、小さいロットには対応しない設備、既存商品のためだけに使っている技術。

プロテインメーカーのアルプロンの島根の工場には、15kg から混ぜられるブレンダーがありました。自社商品を作るための設備です。1kg 入りの商品なら 15 袋分。この単位で製造できることが、そのまま「15 袋から作れる OEM」という商材になりました。

この記事は事例の一部です国内のプロテイン/サプリメントメーカー、株式会社アルプロンの EC 事業再建(2021〜2022 年)と並行して立ち上げた、もう一つの収益源の話です。humbulls がオンライン事業部の統括を受託していた時期の仕事です。本編は EC の立て直し(広告費を 8 割削って売上を前年比 130% に)ですが、この記事はその過程で BtoB の新規事業を作った話です。以下の数字はすべて当時のものです。 アルプロン 導入事例の本編を読む →

市場を、切り分けて数える

新しい商材を立ち上げるとき、最初にやったのは市場の大きさを段階的に絞り込むことでした。

プロテイン市場は当時 930 億円規模で、二桁成長が続いていました。ただ、この数字は自社が狙える市場ではありません。ここから OEM が入り込める部分を切り出す必要があります。

大手ブランドの売上を差し引き、残った市場の半分を OEM が担うと仮置きして 255 億円。さらに小ロット(年商 5,000 万円規模の事業者向け)を、そのうちの 1 割と仮置きして 25.5 億円。

精緻な統計があるわけではないので、仮置きであることを承知の上で桁を出しています。それでも「プロテイン市場は伸びている」という話が、「自社が取りに行けるのはこの範囲」という具体に変わります。狙う相手が変われば、作るべき LP も変わります。

誰が小ロットで作りたいのかを、6 つに分けた

顧客像を「OEM を検討している会社」でひとまとめにせず、6 種類に分けて、それぞれの動機を書き出しました。

顧客層 作りたい理由
エステ・化粧品メーカー 髪も肌もタンパク質でできている。内側からの美容として売りたい
治療院・接骨院・整体 併設のジムで提供したい。物販で客単価を上げたい
パーソナルジム 顧客に提供したい。広告費高騰で新規獲得コストが上がり、既存顧客への物販を強化したい
インフルエンサー 影響力があるうちに実業を持ちたい。広告収入だけでは安定しない
スポーツチーム・スクール チームのメンバーに必要な栄養素の商品を提供したい
ブライダル 結婚式の引き出物として作りたい(実際に問い合わせがあった)

そして重要なのは、この 6 つを全部追いかけないと決めたことです。

エステ・化粧品メーカーは資本があり、こだわりも強く、販路も確立している。つまり最初から小ロットで作らない可能性が高い。スポーツチームも、資本が少ない上に既製品を組み合わせたほうが安く済むので、メインの顧客にはなりにくい。

小ロットという条件に本当に合うのは、販売能力を見極めたい段階の事業者でした。パーソナルジムやインフルエンサーが該当します。まず小さく作って、売れるかどうかを確かめたい人たちです。

強みを、比較できる形に翻訳する

自社の設備条件を、そのまま並べても伝わりません。他社と比べて何が違うか、の形にしました。以下はすべて 2022 年当時の条件と、当時調べた範囲での比較です。

自社の条件(2022年当時) 比較対象
15 袋から作れる 他社の小ロットは 100 袋から
予算 10 万円から作れる(1 袋 1,800 円から) 初期費用と事務手数料が別途 4 万円ほど。2 回目からは初期費用なし
2 週間で納品できる パッケージを印刷で作ると 2 か月ほどかかる
シールでパッケージを作る 印刷だと 6,000 ロット程度から
主原料ごとのテンプレートを用意 デザインができない依頼主でも作れる

「15 袋から」と「100 袋から」を並べたときに、はじめて強みになります。設備の話を、顧客の意思決定の話に変換する作業です。

品質の条件は落としていません。タンパク質含有量は 80% を担保していました。安く作るなら含有量を下げる手もありますが、そこは下げない。製造は FSSC 22000 取得工場です。小ロットで気軽に作れることと、中身が確かであることを両立させる、という前提でした。

弱みも、同じ表に並べた

強みだけを集めた資料は、営業の現場で使えません。弱みも同時に整理しました。

味の選択肢が少ない。決まった配合の組み合わせしか作れません。

ただ、これを弱みのまま置かずに、考え直しています。小ロットで試したい事業者にとって、味の選択肢は本当に必要か。売れる味は決まっている。販売能力を見極めるのが目的なら、売れ筋の味だけで足ります。

パッケージのデザインパターンが少ない。実績が少ないため事例を出せない。これは事実なので、こちらから例を作って見せる方針にしました。

弱みを消そうとするのではなく、その弱みが刺さらない顧客層はどこかを考える。顧客を 6 つに分けておいたことが、ここで効いてきます。

LP に落とす

ここまでの整理が終わってから、サービス LP の制作に入りました。市場を絞り、顧客を分け、強みを比較の形にし、弱みの置き場所を決める。この順番を踏んでいるので、LP に何を書くかで迷いません。

アルプロンのブランドとしての見え方も、この LP に含めています。OEM を検討する事業者にとって、誰に作ってもらうかは品質の判断そのものです。自社商品の販売実績や製造体制は、価格や納期と同じ列に並ぶ判断材料になります。

同じ時期に作っていた BtoC の商品 LP は、これとは正反対のアプローチでした。あちらは味違いの新商品を次々に出すため、色とテキストを差し替えれば展開できる型にしています(色とテキストの差し替えで展開できる商品 LP の型)。数を回す LP と、1 枚で決める LP の違いです。

このサービスは、いまも動いています

当時作ったサービス LP は、現在もそのままのデザインで公開されています(アルプロン 小ロット OEM サービス)。ページの構成も、サービス紹介から発注フロー、費用、品質、工場紹介、よくある質問という流れがそのまま残っています。

変わったのは条件のほうです。最小ロットは 500kg(500 袋)からになりました。立ち上げ当初の 15 袋とは桁が違います。

これは後退ではありません。少額の受注は、金額の割に対応コストがかかります。事業として続けるうちに、採算の合う単位が上がっていったということです。最初は小さく始めて需要を確かめ、軌道に乗ったら採算の合うところまで引き上げる。立ち上げのロットと、定着後のロットが同じである必要はありません。

アルプロンの小ロットOEMサービスLP。「オリジナルブランドプロテイン プロテインOEMサービス」の見出しと、工場のラインを描いた大きなイラスト
2026年8月時点の 小ロット OEM サービスの LP。2022年に設計したときのデザインのまま、4年動き続けています。

この立ち上げから言えること

新規事業を考えるとき、市場から探し始めると当てが外れます。伸びている市場を見つけても、自社に入り込む理由がなければ勝てません。

この OEM は逆の順序でした。すでに持っている設備の条件から出発して、その条件が刺さる相手を探した。15kg から混ぜられる設備があるから、15 袋から作れる。それを必要としているのは誰か、と考えていく順番です。

自社の中に、まだ商材になっていない条件が残っていることがあります。


この OEM サービスの立ち上げは、アルプロンの EC 事業再建と並行して進めたものです。広告費を 8 割削りながら売上を前年比 130% にした全体の流れは、本編の事例記事で書いています。

これは AI 活用が本格化する前、2021〜2022 年の仕事です。同じ考え方を、いまは AI との共創で当時より大幅に短い期間で回しています。

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同じ構造で悩んでいるなら、まず現状を見せてください。

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