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Claude とは — マーケ業務 24 個を検索と AI に仕分ける判断軸

Claude とは — マーケ業務 24 個を検索と AI に仕分ける判断軸

最終更新日: / 公開日:

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本記事のポイント

  • Claude は Anthropic が開発する AI アシスタントです。原則を書いた「憲法」をモデル自身に参照させる Constitutional AI という手法で訓練され、claude.ai の各プランでは 200K トークンぶんの文脈を一度に扱えます (2026 年 8 月現在)
  • 検索ボックスで済む質問と Claude に渡すべき仕事は、難しさではなく「答えを出すのに自社の事情が要るかどうか」で分かれます。判断に必要な質問は 3 つだけです
  • BtoB マーケの実務 24 業務をこの軸で仕分けると、検索で済むもの 8 件・AI に渡すもの 16 件に分かれました。仕分け表と、5 つの入口 (claude.ai / Claude Code / Slack / Claude Design / Microsoft 365) の選び方まで整理します

Anthropic が公開している Claude の入門コースに、6 つの依頼を「検索ボックスで済むもの」と「Claude と一緒に考えるもの」に仕分ける演習があります。コースの解説によれば、4 問はほとんどの人が迷わず、残り 2 問で判断が割れるそうです。割れる理由は問題が難しいからではありません。境界を決めているのは、答えを出すのに自社の事情が要るかどうかという一点だけです。本記事では、Claude とは何かという基本から、マーケの実務 24 業務を実際に仕分けた表、そして 5 つの入口の選び方までを解説します。判断に使う質問は 3 つなので、AI の知識がなくても自分の業務にそのまま当てはめられます。

1. Claude とは — Anthropic が開発する AI アシスタント

Claude は、米国の AI 企業 Anthropic が開発している AI アシスタントです。ブラウザから claude.ai にアクセスすれば、無料プランでもすぐに使えます。

基本情報を先に整理します。

項目 内容
開発元 Anthropic (米国)
訓練の考え方 Constitutional AI (原則を書いた「憲法」で自己批判・修正させる)
一度に扱える文脈 claude.ai の各プランで 200K トークン (2026 年 8 月現在)
主な入口 claude.ai (Web / デスクトップ / モバイル)、Claude Code、Slack の @Claude、Claude Design、Microsoft 365 アドイン
プラン 無料プランあり。有料は Pro / Max / Team / Enterprise
同期 サインインすれば会話・プロジェクト・設定が全デバイスで同期される

作り方に特徴があります。有害な出力を人手のラベル付けで 1 つずつ潰すのではなく、原則を書いた文書をモデル自身に参照させ、自分の回答を批判して書き直させる手順を訓練に組み込んでいます。Anthropic はこれを Constitutional AI と呼び、論文では約 75 の原則からなる憲法を使ったと報告しています。

実務側にとって重要なのは、思想そのものよりも結果です。指示したトーンや制約から出力が離れにくいという性質が、この設計から出てきます。「です・ます調で」「自社の禁止表現を避けて」といった条件を毎回言い直さずに済むぶん、業務で使う AI としての扱いやすさに直結します。

もうひとつ実務に効くのが、一度の会話で扱える情報量です。200K トークンという枠は、議事録・提案書・過去記事をまとめて貼り付けても会話 1 回に収まる規模を意味します。資料を小分けにして何度も貼り直す手間が要らないので、長い資料を読ませてから判断させる使い方ができます。

2. 検索で済む質問と Claude に渡す仕事を分ける 3 つの質問

「AI を使えと言われても、何を投げればいいのか分からない」。生成 AI を導入した会社の担当者から出てくる言葉です。

原因はツールの機能を知らないことではありません。手元の仕事が「調べもの」なのか「判断」なのかを分けていないことにあります。調べものを AI に投げると、検索したほうが速い体験になります。判断を検索ボックスに投げると、一般論しか返ってきません。

仕分けに使う質問は 3 つです。

答えが 1 つに決まるか
為替レート、法令の条文、ツールの上限値。世の中で答えが確定しているものは、検索のほうが速くて正確です。
自社の事情で変わるか
同じ問いでも、自社の体制・商材・過去の経緯によって答えが変わるなら、AI に渡す仕事です。
出力物そのものが要るか
文面・構成案・仮説リストなど、成果物を受け取りたいなら、AI に渡す仕事です。

後ろの 2 つのどちらかに当てはまれば、Claude に渡す仕事だと判断できます。

検索で済む仕事と AI に渡す仕事を分ける 3 つの質問の図

注意したいのは、テーマではなく問いの立て方で渡し先が変わる点です。「HubSpot のワークフローは何個まで作れるか」は検索で 10 秒です。「25 個の枠を自社の施策にどう配分するか」は、いまの運用を知らないと答えが出ません。扱っている対象は同じでも、前者は仕様の確認で、後者は設計の相談です。

この違いは、入力の形にも表れます。検索ボックスに入れるのは質問です。Claude に渡すのは状況です。うまくいかない相談のほとんどは、状況を渡すべき場面で質問だけを投げています

3. マーケ業務 24 個を仕分けた表 — 検索 8 / AI 16

判断軸を実務に当てはめます。humbulls で日常的に発生している BtoB マーケ業務から 24 個を選び、前章の 3 質問で仕分けた結果が次の表です。

業務 渡し先 分かれる理由
MQL の一般的な定義を確認する 検索 答えが 1 つに決まる
HubSpot のワークフロー作成上限を調べる 検索 仕様として確定している
特定電子メール法の同意要件を確認する 検索 法令の条文
展示会の出展料の相場を調べる 検索 公開情報
GA4 の推奨イベント名を確認する 検索 仕様として確定している
競合の資本金・従業員数を調べる 検索 公開情報
インサイドセールスの一般的な役割分担を知る 検索 一般知識
リード獲得単価の業界平均を調べる 検索 公開の統計
自社の MQL の線引きを営業と合意できる形に設計する AI 自社の事情で変わる
今期の施策 20 個に優先順位を付ける AI 自社の事情で変わる
展示会で交換した名刺をセグメント別のフォロー文面に落とす AI 出力物そのものが要る
過去の失注メモから共通パターンを抽出する AI 自社の事情で変わる
自社サービスのペルソナ仮説を 5 人分作る AI 出力物そのものが要る
上長に出す月次レポートの構成を決める AI 自社の事情で変わる
長文のクレームから相手の本当の要求を読み解く AI 自社の事情で変わる
事例取材の質問リストを相手企業に合わせて作る AI 出力物そのものが要る
ホワイトペーパーの構成案を 3 パターン作る AI 出力物そのものが要る
売上から逆算して KPI ツリーを組む AI 自社の事情で変わる
遅延の連絡文を謝罪ではなく決定事項として書き直す AI 出力物そのものが要る
既存記事 50 本の内部リンク設計を見直す AI 自社の事情で変わる
ウェビナー後のフォロー文面を参加・不参加で出し分ける AI 出力物そのものが要る
商談議事録から次回アクションを抽出する AI 出力物そのものが要る
競合 3 社と自社のポジショニングを言語化する AI 自社の事情で変わる
CV が先月から落ちた理由の仮説を洗い出す AI 自社の事情で変わる

内訳は検索で済むもの 8 件、AI に渡すもの 16 件でした。日常業務の 3 分の 2 が AI 側に寄るのは、マーケの仕事の多くが「調べる」ではなく「決める」と「作る」だからです。

仕分けで迷いやすいのは、言葉が似ている 2 種類の業務です。

「ペルソナの作り方」は検索で足ります。型は世の中に整理されているので、解説記事を読めば手順が分かります。一方「自社のペルソナを 5 人分作る」は AI に渡す仕事です。前者は手順を知りたい人の問いで、後者は成果物が欲しい人の問いです。同じ単語が入っていても、必要なものが違います。

「リード獲得単価の業界平均」も検索です。しかし「自社の獲得単価が平均を上回っている理由」は AI に渡す仕事に変わります。数字を知ることと、自社の数字を説明することは別の作業です。後者には、商材・チャネル構成・直近の施策という自社側の情報が要ります。

業務別の活用パターンをもっと広く見たい場合は、生成 AI × BtoB マーケティング大全 に 30 パターンを整理しています。

4. 「回答をもらう」から「判断を詰める」へ — 渡す情報の 3 ブロック

「聞けば答えは返ってくるけれど、そのまま使えたことがない」。AI を何度か触ったことのある方なら、身に覚えのある感覚だと思います。

原因は AI の性能ではありません。渡している情報が質問だけで、判断に必要な材料が入っていないことにあります。前章の言い方でいえば、AI に渡すべき仕事に、検索用の入力を渡している状態です。

実務で安定するのは、次の 3 ブロックを毎回そろえる形です。

状況
自社の体制・商材・数字。「直販 3 名 + 代理店経由」「単価 80 万円」のように具体で書きます。
判断基準
どう考えて決めてほしいかのルール。「商談化率が 10% を切るチャネルは削る」のように条件で書きます。
出力形式
表・箇条書き・文字数など、受け取りたい形。会議に出すなら「A4 一枚で」と書きます。

状況・判断基準・出力形式の 3 ブロックを示した図

このうち抜けやすいのは判断基準です。状況と出力形式だけを渡すと、AI は一般的な正解を選びます。自社の優先順位を明示すると、返ってくる結論が変わります。

Claude 側にも、判断を詰めるための道具があります。ひとつは指示への追従性で、口調や制約を指定するとその枠から離れにくく作られています。もうひとつは学習モードで、2025 年 8 月に一般提供が始まりました。答えを直接出さず、考え方を順に問い返してくる設定です。自分で結論を出したい検討や、若手の育成を兼ねた作業では、こちらのほうが向きます。

5. Claude をどこから使うか — 5 つの入口と提供条件

Claude は複数の入口から使えます。同じ Claude ですが、置かれている場所が違うので得意な仕事も変わります。

入口 できること 提供条件 (2026 年 8 月現在)
claude.ai (Web / デスクトップ / モバイル) 会話、資料の読み込み、文書やファイルの作成 無料プランから
Claude Code ターミナル・IDE・Web からファイル操作やコード実行 Pro / Max、Team・Enterprise はプレミアムシート
Slack の @Claude スレッドを読んで返信、論点整理、定例作業 Team と Enterprise 向けにベータ提供
Claude Design プロトタイプ、スライド、1 枚もののビジュアル Pro / Max / Team / Enterprise でリサーチプレビュー
Microsoft 365 アドイン Excel・PowerPoint・Word・Outlook の中で作業 有料プラン必須。開いているファイルのみ操作可

マーケの日常業務では、まず claude.ai だけで足ります。前章の 3 ブロックを渡す使い方は、ブラウザ版でそのまま実行できます。

そのうえで、業務の形が決まってきたら入口を足していきます。記事や資料をファイルとして扱う量が増えたら Claude Code、チームで同じスレッドを見ながら進めるなら Slack の @Claude、という順序が自然です。Claude Code は開発者向けの触れ込みですが、マーケ側でも原稿ファイルの一括処理や定型レポートの生成に使えます。導入手順は マーケターのための Claude Code 入門 にまとめました。

提供条件には差があるので、社内展開を考える段階では確認が要ります。Slack の @Claude は Team と Enterprise のベータ、Claude Design はリサーチプレビュー、Microsoft 365 アドインは有料プラン限定です。無料プランで試して社内に広げる場合、claude.ai 以外は追加のプラン判断が必要になります。

6. よくある失敗 3 つ

現場で起きる失敗は、だいたい次の 3 つに収まります。

検索で済む質問を投げて実力を判断する

初回に「BtoB マーケティングとは」と聞いて、返ってきた一般論を見て評価を決めてしまうパターンです。検索で済む問いに対しては、検索と大差ない出力しか返りません。評価は AI に渡す仕事で行うのが正しい手順です。自社の失注メモを渡して共通点を出させれば、差は 1 回で分かります

状況を渡さずに一般論を受け取る

「ナーチャリングメールを書いて」だけを投げると、どの会社でも使える文面が返ってきます。前章の 3 ブロックのうち、状況と判断基準が抜けている状態です。自社の商材・検討期間・過去の反応を渡せば、書き直しの回数が減ります。

出力をそのまま提出する

数字や固有名詞の確認をせずに社外文書へ回すと、事故が起きます。AI に渡す仕事ほど、検収の手順を決めておく必要があります。確認する項目を最初から 3 つ決めておけば、レビューは数分で終わります

削減時間の見積もりや、どの業務から着手するかの順序は マーケ業務の AI 効率化はどこから で実測ロードマップとして整理しています。

7. Claude についてよくある質問

Q. Claude は無料で使えますか

無料プランがあり、本記事で解説した使い方はそのまま試せます。有料プランは個人向けの Pro・Max と、組織向けの Team・Enterprise です (2026 年 8 月現在)。

Q. 入力した内容は AI の学習に使われますか

Free・Pro・Max では、チャットを学習に使うかどうかを利用者が設定で選びます。使う設定にした場合の保持期間は最長 5 年、使わない場合は 30 日です。Team・Enterprise などの商用サービスと API は、この扱いの対象外です (Anthropic の告知、2026 年 8 月時点)。社内で使い始める前に、この設定を運用ルールに含めておくことをおすすめします。

Q. Claude と Claude Code は何が違いますか

claude.ai はブラウザやアプリでの会話が中心で、Claude Code はターミナル・IDE・Web からファイルを直接操作します。マーケの業務では、考えを詰める作業は claude.ai、原稿ファイルの一括処理や定型レポートの生成は Claude Code、という使い分けになります。

Q. ChatGPT ではなく Claude を使うべきですか

本記事の判断軸は、どちらの道具を使う場合でも同じように働きます。仕分けが先で、道具の選択は後です。先に「検索で済むのか、AI に渡すのか」を決めてから、いま手元にある道具で試すほうが早く結論が出ます。

Q. チームで使うにはどのプランが必要ですか

組織で使うなら Team か Enterprise です。Slack の @Claude は Team と Enterprise 向けのベータ、Microsoft 365 アドインは有料プランが前提なので、claude.ai 以外の入口を使う予定があるなら、その時点でプランの判断が必要になります。

まとめ

Claude とは何かという問いには、機能一覧よりも使いどころで答えるほうが実務的です。境界は難しさではなく、答えを出すのに自社の事情が要るかどうかで決まります。

判断に使う質問は 3 つだけでした。答えが 1 つに決まるか、自社の事情で変わるか、出力物そのものが要るか

この軸でマーケの 24 業務を仕分けると、3 分の 2 が AI 側に入ります。あとは AI に渡す仕事に、状況・判断基準・出力形式の 3 ブロックをそろえて渡すだけです。

まずは今週やった仕事を、この 3 つの質問で見直すところから始めてみてください。

humbulls では、AI を前提にしたマーケティング体制の設計から運用までを Growth Partner サービス で伴走しています。

参考文献

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