本記事のポイント
「資料をダウンロードしてくれた見込み客に、翌日と 3 日後にフォローメールを出したい。でも Professional は高くて手が出ない」。Marketing Hub Starter を契約したばかりの現場で、よく聞く悩みです。原因はプランの選び方ではありません。Starter に「ステップメールの自動配信は一切ない」と思い込み、フォームのフォローアップ機能を見落としているからです。本記事では、Starter だけで 3 セグメント分のステップメールを自動配信する手順を、そのまま再現できる形に落として解説します。HubSpot の操作が初めてでも、配信文面は巻末の AI 実行キットで生成できるので、必要なのは「誰に何を送るか」を決める力だけです。
完成形から見せます。下図のように、3 種類の入口フォーム (資料ダウンロード / セミナー申込 / 問い合わせ) それぞれに、フォーム送信をきっかけに動く simple workflow を 1 本ずつ紐づけます。送信された人には、1 通目 (お礼) → 2 日後に 2 通目 (関連事例) → 3 日後に 3 通目 (個別相談の案内) が自動で届きます。人が毎回メールを送る作業はゼロです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構築の所要時間 | 半日程度 (3 セグメント分・文面は AI キット利用の場合の目安) |
| 前提プラン | Marketing Hub Starter 以上 (ベース 1,000 marketing contacts) |
| 追加ランニングコスト | $0/月 (Starter の標準機能内で完結) |
| メール送信上限 | marketing contact tier の 5 倍/月 (1,000 contacts なら月 5,000 通) |
| Starter の制約 | simple workflow は 1 フォーム 1 本・最大 10 アクション・分岐なし |
ここで先に、Starter でできることとできないことを正直に切り分けておきます。多段の分岐シナリオ、ページ閲覧をきっかけにした自動配信、毎週決まった曜日に回す定期配信、メールの A/B テストは、いずれも Professional 以上の機能です。逆に、フォーム送信をきっかけにした送信と遅延の組み合わせ、差し込み変数によるパーソナライズ、開封・クリックの計測は Starter で完結します。この線引きを踏まえて、STEP 1 から進めます。
「セグメントごとに出し分けたいけど、Starter だと条件分岐が作れないと聞いた」。設計の最初でつまずく点がこれです。たしかに Starter の simple workflow に if/then の分岐はありません。だからこそ、分岐で振り分けるのではなく、最初から入口を分けて設計します。
やることは、届けたい相手を「行動」で 3 つに割ることです。同じ見込み客でも、資料をダウンロードした人・セミナーに申し込んだ人・問い合わせを送った人では、次に知りたいことが違います。この 3 つを、それぞれ別のフォームで受けると決めます。
| セグメント | 入口フォーム | 送るステップメールの狙い |
|---|---|---|
| 資料ダウンロード | 資料DL フォーム | お礼 → 関連事例 → 個別相談の案内 |
| セミナー申込 | セミナー申込フォーム | 受付確認 → 前日リマインド → アーカイブと次アクション |
| 問い合わせ | 問い合わせフォーム | 受付確認 → 会社紹介 → 日程調整の提案 |
判断基準はシンプルです。「返すメールの中身が変わるなら、入口を分ける」。中身がほぼ同じなら、無理に 3 つに割らず 1 セグメントで始めても構いません。よくある失敗は、いきなり 5 も 6 もセグメントを作って、どのフォームにどの workflow を紐づけたか自分でも分からなくなることです。simple workflow はフォーム 1 つにつき 1 本しか紐づけられないので、入口とシナリオを 1 対 1 で対応させ、まず 3 つで回し始めるのが安全です。
→ セグメントの割り方に迷ったら、巻末の実行キット②で判断できます。
「フォームは 1 つ作れば使い回せると思っていた」。ここも見落としがちです。ステップ配信を入口で分ける以上、フォームもセグメントの数だけ用意します。
HubSpot 左メニューの Marketing > Forms から、セグメントごとに 3 つのフォームを作ります。項目は最小限で構いません。氏名・会社名・メールアドレスがあれば、後で差し込み変数として使えます。会社名を差し込みたいなら、この時点でフォームに会社名の入力欄を入れておきます。フォームで受け取った項目は、そのままコンタクトのプロパティに保存されます。
あわせて、あとで配信結果を見やすくするために、能動的リスト (Active list) を 3 つ作っておきます。Contacts > Lists から、「フォーム送信 = 資料DL フォーム」のような条件で能動的リストを作ると、その条件に合う人が自動で入り続けます。能動的リストは Starter でも使えます。ステップメールの配信そのものは次の STEP の simple workflow が担うので、ここでのリストは「誰がこのセグメントに何人いるか」を把握するための計測用と考えてください。
つまずきポイントは、フォームと workflow の対応を頭の中だけで管理してしまうことです。フォーム名・リスト名・workflow 名にセグメント名を必ず入れ (例: 資料DL_フォーム / 資料DL_リスト / 資料DL_ステップ配信)、3 点セットで名前を揃えておくと、後から見て迷いません。
「一斉配信だと『お客様各位』になって、開封されない」。ステップメールで成果を分けるのが、この差し込み変数 (パーソナライゼーショントークン) です。Starter のマーケティングメールでも、コンタクトのプロパティを本文や件名に差し込めます。
Marketing > Email から新しいマーケティングメールを作り、本文に会社名や氏名を差し込みたい箇所で、エディタの「パーソナライズ」から挿入します。挿入されるとコード上は や のような形で入ります。件名にも同じように差し込めるので、「 様への 3 つのご提案」のような件名にすると開封率が変わります。
ここで必ずやるのが、差し込み変数のデフォルト値 (default value) の設定です。会社名が空のコンタクトに送ると、「 様への提案」と会社名だけ抜け落ちた不自然な文面が届いてしまいます。トークンを挿入するときにデフォルト値 (例: 会社名なら「ご担当者」) を指定しておくと、値が空でも文面が崩れません。よくある失敗は、テスト送信を自分宛て (プロパティが全部埋まっているアカウント) だけで済ませ、項目が空の相手に届く事故に気づかないことです。わざと会社名を空にしたテスト用コンタクトにも送って、デフォルト値が効いているか確認します。
このメールを、セグメントごとに 3 通ずつ (1 通目・2 通目・3 通目) 作ります。3 セグメントなら合計 9 通ですが、文面は巻末の AI 実行キット①で差し込み変数付きのまま一括生成できるので、ここは手を動かす前にキットを回すのが早道です。
いよいよ自動化の心臓部です。「Starter に workflow はないと思っていた」という声をよく聞きますが、正確には「フォーム送信をきっかけにした simple workflow」が Starter にはあります。これが Starter のステップメールの実体です。
作ったフォームの編集画面を開き、「Automation」(自動化) タブに移ります。ここでフォーム送信をきっかけに動く simple workflow を組みます。Marketing Hub Starter では、このフォローアップ simple workflow に最大 10 アクションまで並べられ、その中に「マーケティングメールを送信」アクションを置けます。送信と遅延を交互に並べれば、ステップメールになります。
具体的には、次の順でアクションを並べます。
これで 5 アクション。Starter の上限は 10 アクションなので、間にタスク作成 (営業担当に「フォローしてください」と通知) や静的リストへの追加を挟む余地もあります。同じことをセグメントの数だけ繰り返し、3 つのフォームそれぞれに 1 本ずつ simple workflow を紐づけます。
つまずきポイントは 2 つあります。1 つは、simple workflow はフォーム 1 つにつき 1 本という制約です。「1 つのフォームで、条件によって別々のシナリオに分けたい」は Starter ではできません。分けたいなら STEP 1 に戻り、入口フォームを分けます。もう 1 つは遅延の考え方です。「毎週月曜の朝に送る」のような曜日固定の定期配信は Starter の simple workflow では組めません。組めるのは「登録から◯日後」という相対的な遅延だけです。曜日や時刻を固定した定期配信が必要になったら、そこが Professional への切り替えラインです。
配信が回り始めたら、放置せずに数字を見ます。「送って終わりで、効いているのか分からない」という状態が一番もったいないからです。
Marketing > Email の分析画面で、各メールの開封率とクリック率を確認します。ステップメールは通数が進むほど開封が落ちるのが普通なので、1 通目と 3 通目の落差を見て、離脱している段の件名と中身を差し替えます。差し替えは STEP 3 のメールを編集し直すだけで、simple workflow 側は触らなくても次回配信から新しい文面が使われます。
ここで正直にお伝えすると、Starter にはメールの A/B テスト機能がありません (A/B テストは Professional 以上の機能です)。件名 A と件名 B をシステムに自動で振り分けさせることはできないので、Starter では「今月は件名 A、来月は件名 B にして開封率を見比べる」という手動の入れ替えで代用します。厳密な統計比較ではありませんが、明らかに開封が伸びる件名の型は、この手動比較でも十分に掴めます。
3 セグメント分を組み終えたら、各フォームから自分でテスト送信を 1 回ずつ実行して、次の 3 点を確認します。
3 点が揃えば、あとは実際のフォーム送信ごとに自動でステップメールが流れます。初週は 1 日 1 回、simple workflow の履歴で想定通り送信が進んでいるかを見ておくと安心です。
HubSpot Starter に多段の分岐シナリオはありませんが、フォーム起点のフォローアップ simple workflow を使えば、送信と遅延を組み合わせたステップメールを追加コストなしで自動化できます。3 セグメント配信は、分岐ではなく入口フォームを 3 つに分ける設計で再現します。セグメント設計 → フォーム作成 → 差し込み変数付きメール → simple workflow でステップ化 → 計測、この順になぞるだけです。配信文面は巻末の AI 実行キットで一気に用意できるので、HubSpot が初めてでも半日で 3 セグメント分を組み上げられます。
分岐、ページ閲覧を起点にした配信、曜日固定の定期配信、A/B テストが必要になったら、そこが Professional への切り替えラインです。まずは Starter でステップメールを回し、手応えが出てから上位プランを検討する順番で十分です。
私たち humbulls は、こうしたプラン制約の中で「今の契約でどこまで自動化できるか」を見極める設計から、HubSpot の構築・運用まで Growth Partner サービス で伴走しています。ステップメールの前段になるリスト設計やライフサイクル管理は HubSpot のライフサイクルステージ設計 を、Professional にした後の workflow 活用例は HubSpot ワークフローの実例集 を参照してください。実装テンプレを含む詳細は BtoB マーケ AI 活用ガイド で配布しています。
本文の STEP 1〜5 のうち、手間がかかる「文面づくり」と「セグメント設計」を AI で片づけるキットです。プロンプトは Claude (ブラウザ版で可) にコピペすれば動きます。記入例を自社の値に置き換えて渡してください。
種別: 実装キット 使うもの: Claude (ブラウザ版で可) 事前に用意するもの: 3 セグメントの入口 (資料DL / セミナー / 問い合わせ 等) / 各セグメントで送りたい 3 通の狙い / フォームで取得するプロパティ名 (会社名・氏名など)
プロンプト:
HubSpot Marketing Hub Starter のマーケティングメールに貼り付ける、ステップメールの
文面を作ってください。3 セグメント × 各 3 通 = 合計 9 通を一度に出してください。
【私の状況】(記入例。自社の値に置き換え)
- 会社: BtoB 向けの業務システムを提供
- セグメントと各 3 通の狙い:
1. 資料ダウンロード: 1通目お礼 → 2通目 関連事例 → 3通目 個別相談の案内
2. セミナー申込: 1通目 受付確認 → 2通目 前日リマインド → 3通目 アーカイブ案内
3. 問い合わせ: 1通目 受付確認 → 2通目 会社紹介 → 3通目 日程調整の提案
- 差し込みたい HubSpot プロパティ: 会社名, 氏名
【必ず守る条件】
1. 差し込み変数は HubSpot 記法「」で本文と件名に入れる
(会社名は 、氏名は )
2. 差し込み変数には必ずデフォルト値の想定も併記する
(会社名が空なら「ご担当者」など。文面が「 様」で崩れないように)
3. 各メールは「件名」「プレビューテキスト」「本文」の 3 点セットで出す
4. トーンは「です・ます」調、煽らない、1 通あたり本文は 200〜400 字程度
5. CTA は 1 通に 1 つだけ(複数のリンクで迷わせない)
【出力形式】
セグメントごとに見出しを付け、1通目/2通目/3通目を順に。
各通の冒頭に「送信タイミング(登録から◯日後)」の推奨も添える。
出力の確認ポイント:
の形になっているか (全角括弧や別記法になっていないか)うまくいかないとき:
で統一」と明示してください種別: 判断キット 使うもの: Claude (ブラウザ版で可) 事前に用意するもの: 現在のリード獲得の入口一覧 (フォームの種類) / それぞれで獲得している人数の肌感
プロンプト:
HubSpot Marketing Hub Starter でステップメールを組みます。simple workflow は
「フォーム 1 つにつき 1 本・最大 10 アクション・if/then 分岐なし」という制約があります。
この制約の中で、私のリード入口を何セグメントに分けるべきか判断してください。
【私のリード入口】(記入例。自社の値に置き換え)
- 資料ダウンロードフォーム: 月 40 件
- セミナー申込フォーム: 月 10 件
- 問い合わせフォーム: 月 5 件
- 資料は 3 種類あるが、いまは 1 フォームで受けている
【判断基準(必ずこの基準に従うこと)】
1. 「返すメールの中身が変わるなら入口を分ける」。中身がほぼ同じなら 1 セグメントに統合
2. 分岐は使えないので、分けたい軸は必ず別フォームで受ける前提で考える
3. 運用が破綻しないよう、初期は最大 3 セグメントに抑える案を優先
4. 獲得件数が極端に少ない入口は、当面ステップメール化しない選択肢も提示
【出力】
- 推奨セグメント数と、その 3 セグメントの内訳(どのフォームをどう束ねる/分けるか)
- 各セグメントで送る 3 通の狙い(1通目/2通目/3通目)
- 「今はやらなくてよい」と判断した入口とその理由
出力の確認ポイント:
うまくいかないとき: