本記事のポイント
「ウェビナーは毎回そこそこ集まるのに、その後の商談につながらない」。私たち humbulls が BtoB マーケティングの支援をするなかで、ウェビナー運用でいちばん多く聞く悩みです。この悩みの原因は、集客数でも登壇内容でもありません。開催前に「参加した人」と「申し込んだのに来なかった人」を分けてフォローする準備をしていないことにあります。フォローを分岐させる土台は、開催後ではなく開催前のリスト設計で決まります。本記事では、HubSpot でウェビナーをやる前に用意しておくべきリスト一式を、登録から開催後フォローまでの時系列で型にして解説します。特別なスキルは不要で、型と巻末の AI 実行キットがあれば再現できます。
「開催が終わると、お礼メールを全員に一斉送信して終わってしまう」。ウェビナー運用の相談で、最初にほぼ必ず出てくる現場の声です。
ウェビナー施策の定石は「集客 → 開催 → フォロー」の 3 段構えですが、成果を分けるのは 3 段目のフォローです。とりわけ BtoB では、参加した人と不参加だった人では次に打つべき一手がまったく違います。参加者には当日の内容を前提にした具体提案が刺さり、不参加者にはまず録画やレポートを届けて関心を取り戻す必要があります。ところが「全員に同じお礼メール」を送ると、この分岐が消えます。せっかくの温度差の情報を、自分で捨てているわけです。
診断をひとつに絞ると、やりっぱなしの原因はフォロー担当の怠慢ではなく、参加/不参加を切り分けられるリストが開催前に用意されていないことにあります。開催後に「さて参加者リストを作ろう」と手作業で名簿を突き合わせ始めると、熱が冷めないうちに送るべきフォローが数日遅れ、そのまま放置される。リストは開催後に作るものではなく、開催前に空の器として用意しておくものです。
よくある失敗は、この準備を「開催後にまとめてやればいい」と後回しにすることです。ウェビナー直後の 48 時間は参加者の関心がもっとも高い時間帯で、ここでフォローが出せるかどうかが歩留まりを大きく左右します。器を先に作っておけば、開催後は参加データを流し込むだけでフォローが動き出します。
「そもそも、リストって何種類くらい用意すればいいんですか」。型を提示する前に、必ずこの質問が来ます。
答えは、時系列を 3 フェーズに分けて考えると整理できます。HubSpot でのリスト(HubSpot の最新 UI 上は「セグメント」と呼ばれます)は、ウェビナーのライフサイクルに沿って次のように役割が変わります。
| フェーズ | 用意するリスト | 主な用途 |
|---|---|---|
| 登録前 | 集客リスト(案内メールの配信対象) | 誰に告知するかの絞り込み |
| 開催前 | 登録者リスト / リマインド対象リスト | 申込者の管理・前日/当日リマインド |
| 開催後 | 参加者リスト / 不参加リスト | フォローの分岐(本記事の主役) |
このマップの要は、開催前フェーズまでに「開催後に使うリスト」の条件まで決めきっておくことです。参加者リストと不参加リストは開催後にレコードが入りますが、どういう条件で振り分けるか(例: ミーティングツールの参加ログを取り込む、開催後アンケートに回答したかで判定する)は開催前に設計しておかないと、当日バタバタして間に合いません。
よくある失敗は、登録前の集客リストだけ丁寧に作り込み、開催後のリストを「あとで考える」まま開催日を迎えることです。集客は入口にすぎません。器を 3 フェーズ分そろえて初めて、ウェビナーが商談を生む導線になります。
→ 自社ウェビナー用のリスト一式は、巻末の 実行キット①(所要 30 分)でそのまま設計表に落とせます。
「アクティブリストと静的リスト、どっちを使えばいいのか毎回迷う」。HubSpot を触り始めた人がほぼ全員でつまずくポイントです。
HubSpot のリストには 2 種類あります。アクティブリスト(動的)は、条件に合致するレコードが自動で出入りするリストです。「更新日時が過去 30 日以内の登録者」のような条件を設定すると、該当者が増減するたびに自動でメンバーが入れ替わります。一方、静的リストは作成した時点のスナップショットで、その後は自動更新されません(HubSpot Knowledge, 2026-07)。
ウェビナー運用では、この 2 つを役割で明確に分けます。判断基準はこう整理できます。
参加者リストを静的にすべき理由ははっきりしています。参加という事実は開催時点で確定するので、後から条件で揺れると困るからです。もしこれをアクティブリストにして「ウェビナー参加 = Yes」のようなプロパティ条件で組むと、別のウェビナーの参加者まで混ざったり、プロパティを上書きした瞬間に名簿が変わったりします。その回の参加者は静的リストに固定するのが安全です。
ここで Starter ユーザーが押さえておくべき一次数字があります。HubSpot の Starter プラン(Marketing / Sales Hub Starter)で作れるアクティブリストは 50 個まで、静的リストは 1,000 個までです(Professional は各 1,200 個。HubSpot Knowledge, 2026-07)。静的リストの枠は潤沢なので、ウェビナーの「回ごとの参加者/不参加者」を静的で積み上げても、当面まず枯渇しません。逆にアクティブリストは 50 個と限りがあるため、常用する集客セグメントに優先して割り当てます。
よくある失敗は、毎回のウェビナーごとに集客用アクティブリストを作り捨てて、50 個の枠をすぐ使い切ることです。集客条件は使い回せる形(業種・役職・エンゲージメントなどの汎用セグメント)でアクティブに持ち、回ごとの確定名簿は静的に積む。この振り分けが、Starter でリスト運用を長続きさせるコツです。
「登録者リストは作ったんですが、それだけで足りますか」。開催前フェーズでよく受ける質問です。
登録者リスト 1 本だけでは、リマインドもフォロー分岐も回りません。開催前に用意しておきたいリストは、次の 5 本に整理できます。ここまでを開催の 1 週間前までに器として作っておくのが型です。
| # | リスト | 種別 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 1 | 集客リスト(告知配信対象) | アクティブ | 誰に案内メールを送るか |
| 2 | 登録者リスト | 静的(回ごと) | 申し込んだ人の確定名簿 |
| 3 | リマインド対象リスト | アクティブ | 前日/当日のリマインド送信先 |
| 4 | 参加者リスト(空の器) | 静的(回ごと) | 開催後にログを流し込む |
| 5 | 不参加リスト(空の器) | 静的(回ごと) | 登録者 − 参加者で確定 |
ポイントは 2 番の登録者リストの作り方です。ウェビナー登録フォームを HubSpot で作れば、フォーム送信を条件に登録者を自動で集められます。ここは「このフォームを送信した連絡先」というシンプルな条件で組めるので、フォーム経由セグメントがそのまま登録者リストになります。フォームを外部ツール(Zoom や connpass など)で受けている場合は、CSV を静的リストにインポートする運用でも構いません。
4 番・5 番の「空の器」を開催前に作っておくのが、この型のいちばんの肝です。中身は開催後に入りますが、リスト自体と命名・振り分け条件を先に確定させておくことで、開催後の作業が「データを流し込むだけ」に単純化されます。参加ログ(ミーティングツールの出席データやアンケート回答)をどのプロパティに記録し、どの条件で参加者リストへ移すかまで、この段階で決めておきます。
よくある失敗は、リマインド対象リストを登録者リストと同一視してしまうことです。前日リマインドは「登録済みかつまだ視聴 URL を開いていない人」に絞ると開封率が上がりますが、登録者リストをそのまま使うと既に準備万端の人にも重複して送られ、配信解除を招きます。リマインドは条件で動くアクティブリストで、登録者リストとは別に持ちます。
→ この 5 本を自社のウェビナー名で一気に定義するには、巻末の 実行キット① を使ってください。
「参加者と不参加者、結局どうフォローを変えればいいのか」。ここがウェビナー運用の成否を分ける、いちばん大事な問いです。
開催が終わったら、まず参加者リスト(静的)に当日の参加ログを流し込みます。参加者が確定すれば、不参加リストは「登録者リスト − 参加者リスト」で自動的に定まります。この 2 本が分かれた瞬間から、フォローは別々のシナリオに接続できます。
分岐の中身は、次のように設計します。
この分岐したリストを、HubSpot のメール配信やワークフローの起点にします。静的リストへの追加をトリガーにフォローメールを自動送信すれば、開催後に手を動かさなくてもフォローが流れます。リストを起点にした自動化の組み方は、HubSpot ワークフローの実例集 と HubSpot でのメール配信自動化 で具体的に解説しています。フォローメールの本文そのものを AI で作る手順は ナーチャリングメールを AI で書く方法 を参照してください。
よくある失敗は、不参加者を「来なかった人」として放置することです。BtoB では、申し込んだ時点で一定の関心はあります。不参加者はむしろ「関心はあるが予定が合わなかった見込み客」で、録画フォローの反応から次の商談が生まれることも珍しくありません。不参加リストを空のまま眠らせるのは、集めたリードを捨てているのと同じです。
→ 参加/不参加それぞれのフォロー分岐シナリオとリスト条件は、巻末の 実行キット②(所要 30 分)で設計できます。
「ウェビナーを重ねるうちに、リストが増えすぎて何がどれだか分からなくなった」。運用を続けたチームが必ずぶつかる壁です。
ウェビナーは繰り返す施策なので、回を重ねるとリストは自然に増えます。ここで効いてくるのが命名ルールです。回ごとの静的リストは、「WB_開催年月_リスト種別」のような接頭辞つきの規則で名付けると、一覧で並べたときに回ごと・種別ごとにまとまって探しやすくなります。例えば WB_2026-07_登録者 WB_2026-07_参加者 WB_2026-07_不参加 のように揃えます。
もうひとつの型が、フィルタの設計です。HubSpot では 1 つのリスト(セグメント)にフィルタを最大 250 個まで設定できます(HubSpot Knowledge, 2026-07)が、実務でここまで使うことはまずありません。条件が複雑になりすぎたら、それは 1 本のリストに詰め込みすぎのサインです。「特定業種」「役職」「エンゲージメント」のような汎用条件は独立したアクティブリストに切り出し、ウェビナー固有の条件と掛け合わせる形にすると、後から再利用できます。
Starter のアクティブリスト 50 個という上限は、無計画に使うとすぐ埋まります。回ごとの確定名簿は静的リスト(1,000 個枠)に積み、繰り返し使う集客条件だけをアクティブリストに置く。この振り分けを最初に決めておけば、上限に悩まされることはほぼなくなります。
よくある失敗は、過去回のリストを「もう使わないから」と削除してしまうことです。過去参加者は次回ウェビナーの優良な告知対象であり、複数回参加者は特に商談化しやすい層です。過去の静的リストは消さずに残し、「複数回参加者」を割り出す資産として使ってください。
ウェビナーの成果は、集客数でも当日の完成度でもなく、開催前に「参加/不参加を分けられるリスト」を器として用意しているかで決まります。登録前・開催前・開催後の 3 フェーズでリストを型化し、条件で動くものはアクティブ、回ごとの事実は静的で持つ。この振り分けができていれば、開催後は参加ログを流し込むだけでフォローが自動で分岐します。まずは巻末のキット①で、次回ウェビナーのリスト一式を設計するところから始めてみてください。
humbulls では、こうしたウェビナー運用の設計から HubSpot 実装、開催後フォローの自動化まで一気通貫で伴走する Growth Partner サービス を提供しています。「自社だけで設計から回すのは重い」と感じたら、ご相談ください。
本文の判断と設計を、そのまま AI で実行するためのキット集です。プロンプトは Claude(ブラウザ版で可)にコピペすれば動きます。
種別: 判断キット 使うもの: Claude(ブラウザ版で可) 事前に用意するもの: 次回ウェビナーの概要メモ(テーマ・想定ターゲット・登録フォームの受付方法)。箇条書きで構いません。
プロンプト:
HubSpot でウェビナーを開催するための「リスト一式の設計表」を作ってください。
【私のウェビナー概要】
- テーマ: BtoB マーケ担当者向けの AI 活用セミナー(記入例)
- 想定ターゲット: 従業員 50〜300 名の製造業のマーケ/営業企画(記入例)
- 登録フォームの受付: HubSpot フォーム / 外部ツール のどちらか(記入例: HubSpot フォーム)
- 現在の HubSpot プラン: Starter(記入例)
【設計基準(必ずこの基準に従うこと)】
1. リストは「登録前 / 開催前 / 開催後」の 3 フェーズに分けて設計する
2. 条件で動き続けるもの(集客・リマインド対象)はアクティブリスト、
その回の事実を確定させるもの(登録者・参加者・不参加者)は静的リストにする
3. 開催後に使う「参加者リスト」「不参加リスト」は、開催前に空の器として用意し、
どの条件で振り分けるか(参加ログの取り込み方法)まで決める
4. Starter はアクティブリスト 50 個上限のため、集客条件は使い回せる汎用セグメントにする
5. リスト名は「WB_開催年月_種別」の接頭辞つき命名で統一する
【出力】
1. フェーズ別のリスト一覧表(リスト名 / 種別[アクティブ/静的] / メンバー条件 / 用途)
2. 「参加者リスト」への振り分け条件の具体案(参加ログをどう取り込むか)
3. このウェビナーで最低限必要な 5 本と、あれば良い追加リストの区別
出力の確認ポイント:
うまくいかないとき:
種別: 判断キット 使うもの: Claude(ブラウザ版で可) 事前に用意するもの: ウェビナーの内容メモと、フォローで案内したい次のアクション(個別相談・次回ウェビナー・資料 DL など)。
プロンプト:
ウェビナー開催後の「参加者」「不参加者」向けフォローメールの
分岐シナリオを設計してください。
【私のウェビナー】
- テーマ: (記入)
- 次に案内したいアクション: 個別相談の打診(記入例)
- 当日アンケートの有無: あり(記入例)
【設計基準(必ずこの基準に従うこと)】
1. 参加者と不参加者で、送る内容・トーン・タイミングを明確に分ける
2. 参加者フォロー: 開催後 24 時間以内。お礼 + 当日資料/録画 → 個別提案への接続。
アンケートで課題を書いた人にはその課題に触れる一文を入れる
3. 不参加者フォロー: 「都合が合わなかった見込み客」として扱う。
まず録画/レポートで関心を回復 → 次回案内や個別相談へ
4. 各メールの送信トリガーは「静的リストへの追加」を起点にする前提で書く
【出力】
1. 参加者ルート / 不参加者ルートそれぞれのメール構成
(送信タイミング / 件名案 / 本文の骨子 / CTA)
2. 各ルートの起点となる HubSpot リストの条件
3. 2 通目以降(返信がない場合)のフォローの有無と間隔の提案
出力の確認ポイント:
うまくいかないとき:
種別: 判断キット 使うもの: Claude Code + HubSpot MCP(MCP がない場合は、HubSpot のリスト一覧画面をスクショしてブラウザ版 Claude に貼り付けても動きます) 事前に用意するもの: HubSpot への接続、またはリスト一覧のスクショ
プロンプト:
HubSpot の既存リストを棚卸しして、整理案を作ってください。
【整理基準(必ずこの順に判定)】
1. ウェビナー関連のリストを「WB_開催年月_種別」の命名規則に沿ってリネームする案を出す
2. アクティブリストとして持つべきもの(繰り返し使う集客条件)と、
静的で良いもの(回ごとの確定名簿)を振り分ける
3. Starter のアクティブリスト上限 50 個に対し、現在いくつ使っているかを集計する
4. 過去 90 日メンバーに動きがなく、かつ将来の告知にも使わないリストを「削除候補」として挙げる
(過去ウェビナー参加者は削除候補にしない — 次回告知の資産として残す)
【出力】
- 現状リストの分類表(リスト名 / 種別 / 提案アクション[維持/リネーム/静的化/削除候補])
- アクティブリスト使用数の集計(上限 50 に対する余裕)
- リネーム後の命名例
出力の確認ポイント:
うまくいかないとき: