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HubSpot の重複プロパティを整理する手順 — マージ機能なしで統合|humbulls

作成者: Kazuki Kurita|Jul 8, 2026 4:24:31 PM

本記事のポイント

  • HubSpot には「別プロパティ A と B を 1 つにマージする」機能はありません。だから整理は「値の移行 → 依存の張り替え → 旧プロパティのアーカイブ」という手順で進めます
  • 使用中 (フォーム / ワークフロー / リスト / レポート) のプロパティはアーカイブがブロックされます。先に参照を外す順番を守れば、データを壊さず統合できます
  • アーカイブは 90 日間は復元可能なので、いきなり削除せず「アーカイブして様子見」が安全です。巻末に、プロパティ一覧 CSV から統合計画表を作る判断キットを付けています

「とりあえずインポートしたら、似たようなプロパティが 3 つも並んでしまった」。HubSpot を使い込むほど、よく聞く悩みです。

原因は運用者の雑さではありません。インポート時のマッピングや、担当者ごとのカスタムプロパティ作成が積み重なると、誰でもこうなります。

本記事では、この乱立状態を安全に 1 本へ統合する手順を、HubSpot の公式仕様に沿って STEP 順に解説します。特別なスキルは不要で、型と巻末キットがあれば再現できます。

最初に結論 — HubSpot に「プロパティのマージ」はありません

整理を始める前に、多くの人がつまずく事実を先に共有します。設定画面のどこを探しても、プロパティ同士を統合するボタンは見つかりません。

HubSpot にあるマージ機能は「レコードのマージ」と「選択肢のマージ」の 2 つだけで、どちらも別プロパティ同士の統合ではありません。

紛らわしいので、公式仕様を表で切り分けておきます。

機能 何を統合するか 重複プロパティ整理に使えるか
レコードのマージ 同じ会社/連絡先の重複「レコード」を 1 つに ✕ (レコードの話)
選択肢のマージ 1 つのプロパティ内の「選択肢」を統合 (例: "新規"→"新規顧客") △ (同一プロパティ内のみ)
プロパティのマージ 別プロパティ A と B を 1 つに 機能自体が存在しない

つまり「業種」「業種_2」「industry」の 3 つを 1 本にまとめたいなら、機能を探すのをやめて手順に切り替えます。

やることは 4 つです。残す 1 本を決め、値を移し、依存を張り替え、旧プロパティをアーカイブする。この順番だけ守れば安全に統合できます。

前提と、整理後にできあがる状態を先に示します。

項目 内容
所要時間 重複 3〜5 グループで半日 (棚卸し 1 時間 + 移行・張り替え 3〜4 時間)
前提条件 HubSpot (全プランで実施可) / エクスポート権限 / プロパティ編集権限
追加コスト $0 (標準機能のみ。ワークフロー利用は Pro 以上だが必須ではない)
完成状態 重複プロパティが 1 本に集約され、フォーム・リスト・レポートが新プロパティを参照

以下、STEP 1 から順に進めます。

STEP 1. 重複を棚卸しする — 全プロパティを CSV で一覧化する

「どれとどれが重複しているのか、画面をスクロールしても把握しきれない」。整理の入り口で必ず出る声です。

原因は、HubSpot のプロパティ設定画面が 1 画面で全体を見渡せないことにあります。まず全体を一覧化します。

Settings > Properties でオブジェクト (Contact / Company / Deal 等) を選び、右上の Export から全プロパティを CSV で書き出します。書き出した CSV にはプロパティ名・内部名・型・グループが並ぶので、ここで重複候補をグルーピングします。

重複には、見分けやすい 3 パターンがあります。

  • 表記ゆれ型: 「業種」「業種_2」のように名前が似ている
  • 英日混在型: 「業種」と「industry」のように言語違いで同義
  • インポート産型: 取り込みのたびに 〇〇 (import) が増殖している

つまずきポイントは、内部名 (internal name) を見ずに表示名だけで判断することです。表示名が同じでも内部名が違えば別プロパティなので、CSV では必ず内部名の列で突き合わせます。

エクスポートと再インポートの詳しい扱いは HubSpot のインポートで関連付けを崩さない方法 も参考にしてください。

STEP 2. 残す 1 本を決める — fill rate と依存数で選ぶ

棚卸しで重複グループが見えたら、次は「どれを正とするか」を決めます。ここを感覚で選ぶと、あとで値の移行量が跳ね上がります。

残すべきは「名前がきれいな方」ではなく、値が最も埋まっていて依存が最も多い方です。

判断基準は 4 つで整理できます。優先度の高い順に見ます。

判断軸 見る場所 残す方の条件
fill rate (充足率) アーカイブ時の右パネルに % 表示 値が入っているレコードが多い方
依存数 使用中アセット (フォーム/WF/リスト) 参照が多い方 (張り替えが減る)
型の正しさ プロパティ設定の Field type 用途に合う型 (日付は日付型など)
命名 内部名・表示名 最後に名前だけ整えれば済む

fill rate は、STEP 5 で使うアーカイブ画面の右パネルに「そのプロパティに値が入っているレコードの割合」として出ます。先にこの数字だけ各候補で見比べておくと、正を決めやすくなります。

よくある失敗は、名前がきれいな新しい方を残して、値が 8 割入っている古い方を捨てようとすることです。それをやると移行するデータ量が最大になります。名前は最後にリネームで直せるので、まず中身で選びます。

プロパティ設計そのものを見直したいなら、HubSpot のリードステータス設計 で「増やしすぎない設計」を解説しています。

STEP 3. 値を移行する — 一括編集かエクスポート&再インポート

残す 1 本 (正プロパティ) が決まったら、捨てる側に入っている値を正プロパティへ移します。移行手段は 3 つあり、件数と権限で選びます。

  • 少数 (数十件): リストでフィルタして bulk edit (一括編集) で手入力
  • 大量 (数百件〜): エクスポート & 再インポート。捨てる側の列を正プロパティにマッピングして取り込む
  • ワークフローが使える (Pro 以上): 「プロパティ値をコピー」アクションで自動転記

Starter プランならワークフローは使えないので、実務では 2 番目の「エクスポート & 再インポート」が主役になります。CSV 上で値を突き合わせ、正プロパティの列に寄せてから戻します。

つまずきポイントは、再インポート時のマッピングで正プロパティを取り違えることです。表示名が似ているので、必ず内部名で選びます。

もう 1 つの注意点があります。捨てる側と正側の両方に別々の値が入っているレコードは、上書きで一方が消えます。

両方に値があるレコードは、インポート前に「どちらを優先するか」を CSV 上で決めておきます。

数値どうしを足し合わせたい場合だけは、計算プロパティ (calculated property、Pro 以上) で結合する選択肢もあります。ただし多くの重複整理は上記 3 手段で足ります。

STEP 4. 依存を張り替える — フォーム / ワークフロー / リストの参照先を変える

値を移しても、捨てる側のプロパティを他のツールがまだ参照していると、そのままではアーカイブできません。ここが整理で最も見落とされる工程です。

HubSpot はアーカイブ時に、参照元を 2 種類に分けて表示します。この区別が張り替えの順番を決めます。

表示区分 意味 アーカイブへの影響
Assets preventing archiving ワークフロー・property card 等 外すまでアーカイブ不可
Other assets using this property その他の参照 外さなくてもアーカイブ可 (自動で外れる)

やることは、Assets preventing archiving に出たアセットを 1 つずつ開き、参照先を捨てる側から正プロパティへ差し替えることです。フォームのフィールド、ワークフローの分岐条件、アクティブリストの条件が主な対象です。

特に見落としやすいのが、STEP 3 で選択肢 (ドロップダウン等) のマージを使った場合です。

HubSpot の公式仕様では、選択肢のマージはセグメント・ワークフロー・フィルターを自動更新しません。

  • 統合した値を条件に使っているリストやワークフローは、手で開いて新しい値に直す
  • ここを飛ばすと、リストの対象者が静かに 0 件になる

STEP 5. 旧プロパティをアーカイブする — 90 日は復元できる

依存を全部張り替えたら、捨てる側のプロパティをアーカイブします。いきなり完全削除しないのが安全策です。

Settings > Properties で対象プロパティにホバーし、More > Archive を選びます。右パネルで fill rate と使用中アセットを最終確認し、Assets preventing archiving が空になっていれば Archive property を押せます。

もし Assets preventing archiving がまだ残っていたら、STEP 4 に戻ってその参照を外します。この画面がゲートの役割をしてくれるので、壊れた状態でのアーカイブは起きません。

ここで大事な安全網があります。

アーカイブしたプロパティは 90 日間は Archived タブから復元でき、90 日を過ぎると自動で完全削除されます。

つまり「消していいか不安」なら、削除ではなくアーカイブで止めておけば 90 日の猶予があります。復元は Archived タブから Restore で戻せます。完全削除は Super Admin 権限が必要なので、誤操作も起きにくい設計です。

動作確認 — 何が見えれば成功か

統合が終わったら、次の 4 点を確認します。ここが揃えば整理は完了です。

  • レコード: 正プロパティに、旧プロパティ両方の値が漏れなく入っている
  • フォーム / リスト / ワークフロー: 参照先がすべて正プロパティに変わり、リストの対象件数が想定どおり
  • Archived タブ: 捨てた側のプロパティがアーカイブ済みで並んでいる (= 完全削除していない)
  • レポート: 旧プロパティを使っていたグラフが、正プロパティで同じ数字を出している

4 点が揃えば、あとは 90 日待ってアーカイブが自動削除されるのを見届けるだけです。不安が残るうちは、無理に完全削除する必要はありません。

まとめ — マージ機能を探すのをやめると、整理は進む

HubSpot に「プロパティのマージ」は無い。この 1 点を受け入れると、重複整理は一気に進みます。

やることは、残す 1 本を fill rate と依存数で決め、値を移し、フォーム・ワークフロー・リストの参照を張り替え、旧プロパティをアーカイブする。この 4 STEP だけです。

アーカイブには 90 日の猶予があるので、削除の判断を焦る必要はありません。棚卸しの CSV さえ作れば、あとは巻末の実行キットが統合計画表まで組み立ててくれます。

私たち humbulls では、こうした HubSpot の棚卸しから運用設計まで一気通貫で伴走する Growth Partner サービス を提供しています。Starter からの立ち上げ全体像は HubSpot Starter 活用ガイド にまとめています。

🤖 AI 実行キット

本文の STEP 1〜2 を、そのまま AI で実行するためのキットです。プロンプトは Claude (ブラウザ版で可) にコピペすれば動きます。

キット① プロパティ一覧 CSV から統合計画表を作る — 30 分

種別: 判断キット 使うもの: Claude (ブラウザ版で可) 事前に用意するもの: STEP 1 でエクスポートしたプロパティ一覧 CSV (プロパティ名 / 内部名 / 型 / グループ / fill rate の列。fill rate が無ければ後で追記でも可)

プロンプト:

添付は HubSpot のプロパティ一覧です。似た意味のプロパティが乱立しているので、
重複グループを特定して「統合計画表」を作ってください。

【私の状況】
- オブジェクト: Contacts(記入例。自社の対象に置き換え)
- プロパティ一覧(CSV を貼り付け。列: 表示名 / 内部名 / 型 / グループ / fill rate):
  業種, industry, contact, テキスト, 62%
  業種_2, industry_2, contact, ドロップダウン, 8%
  (以下、自社の CSV を貼る)

【必ず守る判断基準(本文の基準を転写)】
1. 重複は「表記ゆれ型」「英日混在型」「インポート産型」の 3 観点で必ずグルーピングする
2. 各グループで「残す 1 本」を、次の優先順で選ぶこと:
   ① fill rate が高い ② 依存が多そう ③ 型が用途に合う ④ 命名は最後に直す前提で無視
3. 名前がきれいでも fill rate が低い方は「残す」に選ばない(移行量が最大になるため)
4. 型が異なるグループ(例: テキスト × ドロップダウン)は「要注意」と明記する

【出力形式】
以下の列を持つ表で出力してください:
| グループ名 | 重複プロパティ(内部名) | 残す 1 本 | 選定理由 | 移行方法の推奨 | 要注意点 |
移行方法は「一括編集 / エクスポート&再インポート / ワークフロー」から、件数と型を見て推奨する。

出力の確認ポイント:

  • 「残す 1 本」が fill rate の高い方になっているか (名前のきれいさで選んでいないか)
  • 型が違うグループに「要注意」が付いているか (テキスト→ドロップダウンは移行時に選択肢化が必要)
  • 移行方法が件数に見合っているか (数十件で再インポートを勧めていないか)

うまくいかないとき:

  • グルーピングが粗い → CSV に「このプロパティは何に使う想定か」の 1 列を足して再実行すると精度が上がります
  • fill rate 列が無くて判断できない → STEP 5 のアーカイブ画面で各プロパティの fill rate を先に控え、CSV に追記してから渡してください

参考文献

  • Organize, delete, and export properties — HubSpot Knowledge Base。アーカイブ手順・使用中アセット・90 日ルール (取得日: 2026-07)
  • Manage enumeration property options — HubSpot Knowledge Base。選択肢のマージ挙動と「セグメント/ワークフローは自動更新しない」仕様 (取得日: 2026-07)
  • Merge records — HubSpot Knowledge Base。レコードのマージ (プロパティのマージとは別物) (取得日: 2026-07)