本記事のポイント
「SEO も広告もウェビナーもやったほうがいいのは分かる。でも、うちの規模でどれから手をつければいいのか分からない」。humbulls が BtoB マーケの立ち上げを支援するなかで、最もよく聞く悩みです。この悩みの原因は、施策の知識不足ではありません。施策を「知っている状態」のまま、自社の詰まりに紐づけずに会議へ持ち込んでいることにあります。本記事では、施策を選ぶ順番 — 詰まりを決める → レーンに仕分ける → 4 軸で採点する → 運用表に戻す — を、AI で会議前に終わらせる実務フローとして解説します。特別なスキルは不要で、型と巻末のキットがあれば再現できます。
「上長から『施策が足りない』と言われるので、とりあえず打ち手を増やしている」。Starter 規模のマーケ担当から、毎月のようにこの相談が届きます。
施策が増えても成果が伸びないとき、原因は施策の数ではありません。ボトルネックと合っていない施策を足していることにあります。BtoB マーケティングは単発の集客ではなく「選ばれる仕組みづくり」です。認知から受注までを一本の流れとして見て、どこが詰まっているかを先に決める。この順番を外すと、手数は増えても成果に直結しません。
診断の起点は、施策一覧ではなく自社の数字です。判断はこう整理できます。
よくある失敗は、この診断を飛ばして「他社がやっているから」で施策を選ぶことです。ボトルネックが CV 導線にあるのに SEO 記事を 30 本作っても、入り口の穴は埋まりません。まず数字を読む。施策を選ぶのはその後です。
→ 自社の数値からボトルネックを仮説化する作業は、巻末の 実行キット① (所要 10 分) でそのまま実行できます。
「施策の一覧表は作った。でも、SEO と展示会と失注フォローが同じ列に並んでいて、どう比べればいいのか分からない」。施策整理でつまずく典型がこれです。
施策を一列に並べると比較できないのは当然です。役割が違う施策を同じ土俵で比べようとしているからです。SEO や広告はまだ接点のない見込み顧客を連れてくる施策、ホワイトペーパーやウェビナーは興味を持った人に次の理由を渡す施策、インサイドセールスやステップメールはリードを商談に近づける施策、競合比較表や提案資料は受注率を上げる施策です。段階が違えば、見るべき数字も変わります。
そこで、施策を「良さそう」で選ぶ前に、次の 5 レーンに仕分けます。実務では、まずこの粒度で十分です。
| レーン | 主な施策 | 見るべき数字 |
|---|---|---|
| オンライン獲得 | SEO、広告、ブログ、外部寄稿、ホワイトペーパー | セッション、CV 数、CVR、CPA |
| オフライン獲得 | 展示会、セミナー、紹介、登壇、DM | 名刺数、商談化率、商談単価 |
| 育成 | メルマガ、ステップメール、ウェビナー、リマーケティング | 開封率、クリック率、再訪、MQL 化 |
| 商談化 | インサイドセールス、即時架電、フォローコール | SQL 化率、商談化率、対応速度 |
| 受注率改善 | 比較表、提案資料、事例、失注分析、営業ロープレ | 受注率、商談期間、失注理由 |
この表に落とすだけで、「今やるべき施策」と「いつかやる施策」が分かれます。商談数は十分あるのに受注率が低いなら、広告予算を増やす前に事例・競合比較・提案資料・失注分析を見る。リードは多いのに商談にならないなら、育成と商談化の連携を見る。BtoB の見込み顧客はいきなり問い合わせず、課題を調べ、比較し、社内で共有し、稟議を通してやっと商談になります。TOFU / MOFU / BOFU で必要な情報が変わるのはそのためです。
よくある失敗は、1 つの施策を複数レーンにまたがらせたまま放置することです。ウェビナーは「育成」にも「オフライン獲得」にも見えますが、主目的を 1 つに絞らないと採点でぶれます。まずは主目的で 1 レーンに置く。それだけで一覧が判断可能な形になります。
→ 施策一覧を自社のファネルにマッピングする作業は、巻末の 実行キット② の前半 (所要 20 分) で実行できます。
「一番インパクトが大きい施策から着手したら、準備だけで 1 ヶ月経ってしまった」。施策の選定でよく起きる詰まりです。
インパクトだけで選ぶと着手が重くなり、止まります。大きい施策ほど関係者が多く、準備物が多く、効果検証まで時間がかかるからです。最初の 2 週間は、インパクトに加えて「検証の速さ」を見ます。新しいオウンドメディアや大型ホワイトペーパーは準備に時間がかかりますが、CV ボタンの文言変更・フォーム項目削減・ファーストビュー修正・失注理由を 20 件だけ分類する・既存記事の CTA 差し替えなら、2 週間で数字が見えます。
判断軸は Impact / Cost / Confidence / Speed の 4 つです。
| 評価軸 | 見ること |
|---|---|
| Impact | 成果に効いたときの大きさ |
| Cost | 制作・運用・広告費・関係者調整の重さ (低いほど高得点) |
| Confidence | その施策が効きそうだと言える根拠の強さ |
| Speed | 何日で試せるか、何日で数字が見えるか (速いほど高得点) |
たとえば SEO 記事 30 本は Impact が大きくても Cost が高く Speed が遅い。CV 導線の見直しは Impact が中程度でも Cost が低く Speed が速い。今月の打ち手としては後者が勝つこともあります。BtoB の購買はデジタル化と購買委員会の複数人化で長期化しており、単発のリード数だけでは成果を測り切れません。だからこそ、短期で試す施策と中長期で育てる施策を分けます。ここを混ぜると、SEO に 2 週間で結果を求めたり、CVR 改善を半年後に回したりと、順番が逆になります。
よくある失敗は、AI の採点をそのまま結論にすることです。採点は絶対値ではなく議論の起点です。各点数の根拠を必ず出させ、チームで 1 度補正してから採用してください。
→ 5 レーンに分けた施策を 4 軸で採点し、2 週間の打ち手を絞る作業は、巻末の 実行キット② の後半で実行できます。
「施策会議が毎回 2 時間かかる。課題の話、アイデアの話、営業の要望、経営の期待が全部同じテーブルに載って、決まらないまま終わる」。会議の非効率は、BtoB マーケの現場で共通の悩みです。
会議が長引くのは、会議の場でゼロから施策を出しているからです。アイデア出しは会議前に終わらせ、会議は「捨てる時間」にする。ここを分けると、2 時間の会議が事前整理 30 分 + 会議 30 分に収まります。会議前に用意するのは次の 4 点です。
ここまで用意すると、会議は「この 3 つから選ぶならどれか」「この前提は合っているか」「営業側で確認すべきことは何か」に集中できます。アイデアを増やす時間ではなく、やらない施策を決める時間になります。BtoB マーケティングでは、やらない施策を決めることも仕事です。
よくある失敗は、AI に会議の意思決定そのものを任せようとすることです。AI に任せるのは会議前の整理・論点出し・たたき台づくりまでで、判断と優先順位の最終決定は人間が持ちます。この線引きを崩すと、もっともらしい一般論が採用されてしまいます。
→ 会議前の 4 点セット (アジェンダ・論点・優先施策 3 つ・2 週間タスク) の生成は、巻末の 実行キット③ (所要 30 分) で実行できます。
「良い会議だったのに、翌週になっても何も動いていない」。優先順位を決めた後に必ず起きる詰まりです。
決めた施策が動かないのは、施策名と数字がつながっていないからです。優先順位を CRM やスプレッドシートの運用表に戻して、はじめて運用になる。「ホワイトペーパーを作る」だけでは施策になっていません。対象読者・訴求・LP・フォーム項目・サンクスページ・メールフォロー・営業通知・MQL 条件・週次レビュー項目まで決めて、はじめて動きます。
最初から完璧なダッシュボードは不要です。まずは 1 枚の Sheets に、次の 7 項目だけ決めます。
HubSpot を使っているなら、計測場所はかなり明確です。フォーム、LP、キャンペーン、ライフサイクルステージ、リスト、メール、商談ステージ、担当者、失注理由。大事なのは、施策名と KPI が 1 対 1 でつながっていることです。リード数だけでなく、次のステージに進んだか (MQL → SQL) まで見ると、営業とマーケの認識がそろいます。
よくある失敗は、HubSpot 側のプロパティが未整備なまま CRM に施策を詰め込もうとして手が止まることです。プロパティが足りないなら、最初は Sheets で仮運用し、回り始めてから CRM に戻すほうが早い。運用は完璧さより、翌週もう一度数字を見る回転数で決まります。
→ 優先施策を HubSpot / Sheets の運用表に落とす作業は、巻末の 実行キット④ (所要 20 分) で実行できます。
BtoB マーケの施策は、知っているだけでは成果になりません。詰まりを決める → 5 レーンに仕分ける → 4 軸で採点する → 会議前に下ごしらえする → 運用表に戻す。この順番にすると、施策会議は「何をやるか」だけでなく「何をやらないか」まで決められます。会議前の整理を AI に任せれば、2 時間の会議は 30 分に収まります。明日から動くなら、まずは既存の数字を 1 枚にまとめ、キット①でボトルネックを仮説化するところから始めてみてください。
より踏み込んだレポート基盤づくりは HubSpot Starter で Pro 級ダッシュボードを再現する を、施策の成果を数字で評価する方法は 月次コホート × 経過日数 × 勝率 を参照してください。humbulls では、こうした施策設計から運用まで一気通貫で伴走する Growth Partner サービス を提供しています。実装テンプレを含む詳細ガイドは BtoB マーケ AI 活用ガイド で配布しています。
本文の判断を、そのまま AI で実行するためのキット集です。プロンプトは Claude (ブラウザ版で可) にコピペすれば動きます。
種別: 判断キット 使うもの: Claude (ブラウザ版で可) 事前に用意するもの: HubSpot / GA4 / Search Console / 広告管理画面 / Google Sheets の数字。粒度が粗くても構いません。分かる範囲で空欄のまま渡しても動きます。
プロンプト:
BtoB マーケティングのボトルネックを仮説化してください。
【私の状況】
- 商材: 業務用 SaaS(記入例)
- 平均受注単価: 120 万円(記入例)
- 主なターゲット: 従業員 100〜500 名の製造業(記入例)
- 月間セッション数: 3,000
- CV 数: 10 / CVR: 0.3%
- MQL 数: / SQL 数: / 商談数: / 受注数: / 受注率:
- 平均リードタイム:
(分かる数字だけ埋め、不明は空欄のままで可)
【判断基準(必ずこの基準に従うこと)】
- 訪問はあるのに CV が少ない → 流入拡大より先に CV ポイント・
フォーム・ファーストビュー・導線を疑う
- CVR は 3〜5% あるのに訪問者数が足りない → 獲得施策(SEO・広告・
外部露出)への投資を検討
- リードはあるのに商談にならない → 育成とインサイドセールスの連携を疑う
【出力】
1. もっとも詰まっていそうな箇所(1 つに絞る)
2. そう判断した理由
3. 追加で確認すべきデータ
4. 今すぐ試せる改善施策を 5 個
5. 2 週間で検証できる順番
数字から言えないことは「未確認」と明記してください。
出力の確認ポイント: - ボトルネックが 1 つに絞られているか。複数挙げてきたら「最も影響が大きい 1 つは?」と追撃する - 「追加で確認すべきデータ」が出ているか。ここが空だと、会議が感想戦になります
うまくいかないとき: - 数字がほとんど埋まらない → 埋まっている 2〜3 個だけで一度実行。粗くても論点は見えます
種別: 判断キット 使うもの: Claude (ブラウザ版で可) / Google Sheets 事前に用意するもの: 施策候補の一覧 (箇条書きで可)、キット①のボトルネック仮説
プロンプト:
BtoB マーケの施策候補を、分類 → 採点の 2 段階で整理してください。
段階を混ぜず、まず分類、そのあと採点に進んでください。
【前提】
- 現在の課題(キット①のボトルネック仮説を貼る):
- 今月の目標: / 使える人員: / 使える予算: / 既存アセット:
【施策候補】
(ここに施策一覧を貼る)
【STEP 1: 5 レーンに分類】
オンライン獲得 / オフライン獲得 / 育成 / 商談化 / 受注率改善
- 1 施策が複数レーンにまたがる場合は、主目的を 1 つに絞る
- 不明なものは「要確認」
【STEP 2: 4 軸で採点(必ずこの定義に従うこと)】
- Impact: 成果に効いたときの大きさ
- Cost: 工数・費用・調整量。低コストほど高得点
- Confidence: 効きそうだと言える根拠の強さ
- Speed: 早く試せるほど高得点
【出力形式】
| 施策 | レーン | Impact | Cost | Confidence | Speed | 合計 | 先にやる/後回しの理由 |
最後に、2 週間で試す施策を 3 つだけ選び、各点数の根拠を 1 行ずつ添えてください。
出力の確認ポイント: - 施策が主目的で 1 レーンに収まっているか。またがったままだと採点がぶれます - 選ばれた 3 施策の Speed が本当に 2 週間以内か。準備に時間のかかる施策が紛れていないか
うまくいかないとき: - 採点が全部 4〜5 点に寄る → 「相対評価で、最も低い施策を 1 点として並べ直して」と指示
種別: 実装キット 使うもの: Claude (ブラウザ版で可) / Notion / Google Sheets 事前に用意するもの: キット①②の出力、営業・経営からの要望メモ
プロンプト:
2 時間かかっている施策会議を 30 分に短縮するための事前資料を作ってください。
会議中にアイデア出しをしなくて済む粒度にしてください。
【入力】
- 直近 3 ヶ月の KPI:
- ボトルネック仮説(キット①):
- 施策の分類・採点表(キット②):
- 今月使える予算: / 人員:
- 営業からの要望: / 経営からの要望:
【出力】
1. 会議の目的
2. 先に確認すべき前提
3. 意思決定すべき論点
4. 優先施策候補 3 つ
5. 見送る施策と理由
6. 2 週間の実行タスク
7. 担当者に確認すべき質問
施策は最大 3 つに絞り、「何をやらないか」も必ず明記してください。
出力の確認ポイント: - 「見送る施策と理由」が具体的に出ているか。ここが薄いと会議で議論が散らかります - 論点が「決められる問い」になっているか (例:「A と B どちらを先にやるか」)
うまくいかないとき: - 論点が抽象的 → 「各論点を、Yes/No または二択で答えられる形に書き直して」と指示
種別: 実装キット 使うもの: Claude (ブラウザ版で可) / HubSpot / Google Sheets 事前に用意するもの: キット③で絞った優先施策 3 つ
プロンプト:
以下の優先施策を、HubSpot と Google Sheets で運用できる形に落としてください。
【優先施策】
(キット③で絞った 3 つを貼る)
【前提】
- 使用ツール: HubSpot / Google Sheets
- チーム人数: / 週次レビューの曜日: / 今月の目標:
【出力形式】
| 施策 | 狙う KPI | HubSpot で見る場所 | Sheets で管理する項目 | 担当 | 期限 | 初回レビュー日 | 次アクション |
追加で出してほしいこと:
1. HubSpot で必要になりそうなプロパティ
2. フォームや LP で確認すべき項目
3. 営業側に確認すべき項目
4. 週次レビューで見るべき数字
出力の確認ポイント: - 施策ごとに「どの画面で数字を見るか」まで埋まっているか - 初回レビュー日が期限より前に置かれているか (やりっぱなし防止)
うまくいかないとき: - HubSpot のプロパティが未整備で埋まらない → まず Sheets の 7 項目だけで仮運用し、回り始めてから CRM に移す