本記事のポイント
「LP のヘッドラインが公開時の仮のまま、半年そのままになっている」「メール件名を毎回その場のノリで決めている」——humbulls が BtoB マーケを支援するなかで、コピーの悩みは本当によく聞きます。
原因は文才ではなく、「刺さるコピーの型」を AI への指示に渡していないことにあります。
私たち humbulls は ChatGPT と Claude でキャッチコピーを 1,000 本生成する検証を行い、刺さる言葉に共通する 7 つの型を抽出しました。本記事では、その型を転写した 7 本のプロンプトを検収基準付きで公開します。特別な文章力は不要です——プロンプトをコピペして、出てきた候補から選ぶだけで再現できます。
「AI に頼めばコピーなんて秒で終わると思っていた」——検証を始める前の、humbulls 自身の想定です。
実際、ChatGPT は優秀でした。指示すれば一瞬で 100 本でも 200 本でも並べてくれます。ただし条件を渡さずに生成した分は、約 9 割が「それっぽいだけ」の言葉でした。
「あなたのビジネスを次のステージへ」「業務を、もっとスマートに」。整った日本語ですが、読んだ瞬間に忘れます。
消えていく言葉には「誰に」も「何が変わるか」も入っていません。
逆に、1,000 本をふるいにかけて残ったコピーの共通点はひとつでした。読んだ人が「これ、うちの話だ」と錯覚する言葉です。綺麗さでも賢さでもなく、読み手の頭の中で自分ごとに変換されるかどうかが分かれ目でした。
BtoB でキャッチコピーが成果を左右する場所は、主に 4 つあります。
| 使い所 | 刺さらないときに起きること |
|---|---|
| LP のヘッドライン | 直帰。フォームまで読まれない |
| 広告見出し | CTR が上がらず CPC が高止まり |
| メール件名 | 開封されず、本文の出来が無意味になる |
| ウェビナータイトル・資料表紙 | 申込・DL の母数が伸びない |
BtoB 特有の前提もあります。コピーは担当者 1 人ではなく、稟議で複数人に読まれます。だから後述の③数字と④権威が BtoC 以上に効き、逆に煽りの強い表現はブランドリスクになります。この塩梅も各キットの基準に織り込みました。
生成 AI をコピー以外のマーケ業務にどう配置するかは、生成 AI × BtoB マーケティング大全で全体像を整理しています。
ここからは 7 本のプロンプトです。いずれも Claude(ブラウザ版で可)にコピペすれば動きます。
「みんなに届け」は誰にも届きません。検証でも、「幅広い企業向けに」と頼んだ生成は必ずぼやけました。
後者が刺さる背景にはカクテルパーティ効果(雑踏でも自分の名前だけ聞き取れる現象)があります。人は「自分に関係ある」と感じた情報だけを拾うため、一人に絞った言葉は矢になります。
種別: 実装キット 使うもの: Claude(ブラウザ版で可) 事前に用意するもの: 商材の概要 1〜2 行。理想の顧客 1 社を思い浮かべておくと精度が上がります。
プロンプト:
BtoB サービスのキャッチコピーを、ターゲットを「たった一人」に絞って作ってください。
【商材】
- サービス: MA ツールの導入支援(記入例。自社の商材に差し替え)
- 使う場所: サービス LP のヘッドライン(記入例。広告見出し / メール件名でも可)
【ターゲット設定の基準(必ずこの基準に従うこと)】
- 「すべての企業へ」「ご担当者さまへ」のような全方位表現は禁止
- 業種・チーム人数・役割・いま起きている具体的な状況(例: 展示会の名刺 800 枚が箱のまま)まで 1 人に絞り込む
- 絞った 1 人が読んだ瞬間「自分のことだ」と感じる固有の情景を 1 つ入れる
【出力】
1. 設定したターゲット像(役職・チーム構成・抱えている状況)
2. 「〜という会社へ」「〜なあなたへ」形式のキャッチコピー 10 本
出力の確認ポイント: - 各案に「名刺 800 枚」「月末の Excel」のような固有の情景が入っているか。入っていない案は捨てる - 実在の顧客 1 社の顔が浮かぶか
うまくいかないとき: - ぼやける場合は、実在顧客 1 社のプロフィール(業種・人数・導入前の状態)をプロンプトに貼り足すと一気に尖ります
人が予算を割くのは製品ではなく、導入したあとの「変わった自分」です。
機能説明ではなく変化の約束。「やめたいのにやめられない」矛盾(認知的不協和)を言い当てられると、人はその解消に動きます。
種別: 実装キット 使うもの: Claude(ブラウザ版で可) 事前に用意するもの: 顧客の「導入前の状態」と「導入後の状態」を 1 行ずつ。
プロンプト:
BtoB サービスの「導入後の変化」を約束するキャッチコピーを作ってください。
【商材】
- サービス: レポート自動化の構築支援(記入例)
- 導入前の状態: 月末に Excel で 8 時間の集計作業(記入例)
- 導入後の状態: ダッシュボードを開くだけで会議に出られる(記入例)
【表現の基準(必ずこの基準に従うこと)】
- 機能・スペックの説明は禁止(「高機能」「豊富な連携」は使わない)
- 「〇〇な日々はこれで終わり」「〇ヶ月後、〇〇しているあなたへ」の形式で、導入後の姿が映像として浮かぶこと
- 変化の主語は製品ではなく読み手にする
【出力】
- ビフォーアフターが 1 行で浮かぶキャッチコピー 10 本
出力の確認ポイント: - 主語が製品になっている案(「本ツールは〜できます」)が混ざっていないか - 「3 ヶ月後」など変化までの時間軸が入った案が 3 本以上あるか
うまくいかないとき: - 変化が抽象的になる場合は、実際の顧客が導入後に口にした一言(「あの集計、もうやってないんですよ」等)を素材として貼ると具体化します
「あっという間に設定完了」は流されます。「たった 15 分で設定完了」は止まります。
端数まで刻むと生々しくなります。同じ量でも単位で印象が変わる現象(シャルパンティエ効果)も使えます——「0.5 時間」より「30 分」。BtoB では稟議の途中で数字の裏取りが入るため、実測とずれた数字は逆効果です。捏造禁止を基準に埋め込みました。
種別: 実装キット 使うもの: Claude(ブラウザ版で可) 事前に用意するもの: 自社の実績数字のメモ(導入社数・設定時間・改善率など、あるものだけで可)。
プロンプト:
以下の実績数字を使って、具体性で目を止めるキャッチコピーを作ってください。
【使える数字(自社の実測に差し替え)】
- 導入企業数: 1,247 社(記入例)
- 設定時間: 15 分(記入例)
- 改善実績: 商談化率 2.1 倍(記入例)
【数字の使い方の基準(必ずこの基準に従うこと)】
- 「多くの」「すぐに」「大幅に」などの抽象表現は禁止。必ず数字に置き換える
- 端数はそのまま残す(1,200 社と丸めず 1,247 社)
- 印象が強くなる単位があれば言い換える(0.5 時間 → 30 分)
- 手元にない数字を作ることは禁止。足りなければ「不足している数字」として列挙する
【出力】
- 数字を先頭または中心に置いたキャッチコピー 10 本
- 今後計測しておくべき数字のリスト
出力の確認ポイント: - プロンプトに渡していない数字が勝手に登場していないか(1 本でもあれば全体を疑う) - 「不足している数字」リストが、次の計測計画としてそのまま使えるか
うまくいかないとき: - 使える数字が本当にない場合は、このキットを飛ばして④権威か②変化に寄せてください。数字の捏造だけは避けます
BtoB の買い手は、担当者個人としてではなく「稟議を通す人」としてコピーを読みます。だから第三者の評価が一行に入っているかどうかで、その先を読む理由の強さが変わります。
最初に見た情報が判断の錨になる(アンカリング効果)ため、肩書き・順位は文頭に置くのが基本です。
種別: 実装キット 使うもの: Claude(ブラウザ版で可) 事前に用意するもの: 受賞・認定・導入実績・専門資格など、第三者性のある実績の棚卸しメモ。
プロンプト:
以下の実績・第三者評価を使って、1 行で信頼が伝わるキャッチコピーを作ってください。
【使える権威(自社のものに差し替え)】
- 受賞・認定: レビューサイトの部門受賞(記入例)
- 導入実績: 上場企業を含む 320 社(記入例)
- 専門性: 認定資格を持つコンサルタントが伴走(記入例)
【表現の基準(必ずこの基準に従うこと)】
- 肩書き・順位・受賞名は文頭に置く(最初に見た情報が印象の錨になるため)
- 「品質にこだわった」など自称の形容は禁止。第三者の評価だけを使う
- 実在しない受賞・推薦を作ることは禁止
【出力】
- 権威を文頭に置いたキャッチコピー 10 本
出力の確認ポイント: - すべての案の根拠が「自社で言っていること」ではなく「第三者が認めたこと」になっているか - 受賞名・順位の表記が公式表記と一致しているか(広告審査・商標の観点)
うまくいかないとき: - 権威になる実績がまだ薄い場合は、「導入 3 社の実名事例(許諾済み)」のような小さくても実在する証拠のほうが、大きく見せた曖昧な表現より通ります
矛盾するようで、両立します。「みんなが選んでいる」(バンドワゴン効果)で安心させ、「手に入りにくい」(希少性)で先延ばしを止める構成です。
BtoB では「検討します」で止まる案件が多いからこそ、期限と枠の実在する制約が効きます。売れていないのに「大人気」、制限がないのに「限定」は、発覚した瞬間に信頼ごと失うため基準で禁止しています。
種別: 実装キット 使うもの: Claude(ブラウザ版で可) 事前に用意するもの: 人気の根拠(申込数・導入数)と、実在する制約(支援枠・席数・期限)のメモ。
プロンプト:
「みんなが選んでいる」と「手に入りにくい」を 1 行に同居させたキャッチコピーを作ってください。
【素材(自社の実状に差し替え)】
- 人気の根拠: ウェビナー申込が累計 500 名超(記入例)
- 希少性の根拠: 個別相談の枠が月 3 社まで(記入例)
【表現の基準(必ずこの基準に従うこと)】
- 前半で人気・話題性を、後半で数量・期限の制約を見せる 2 部構成にする
- 「〇〇で話題。ただし残り〇枠」の形式を基本にする
- 実績のない「大人気」、実際には制限のない「限定」は禁止
【出力】
- 人気 × 希少を同居させたキャッチコピー 10 本
出力の確認ポイント: - 希少性の根拠が実在するか(体制上の制約・会場の席数など、説明できる理由があるか) - ウェビナー・キャンペーン終了後に使い回せない表現が混ざっていないか(運用コストの確認)
うまくいかないとき: - 希少性の根拠が作れない場合は、無理に枠を演出せず⑤を飛ばして③数字に寄せてください
「見るな」と言われると見たくなる(カリギュラ効果)。条件なしの生成では 1,000 本中ほぼゼロだった、指示して初めて出てくる型です。
あえて突き放すと、本気の読み手は「そこまで言うなら」と前のめりになります。ただし BtoB では稟議で複数人が読むため、挑発が強すぎるとブランドを傷つけます。トーン強弱の 2 段構えで出させるのが安全です。
種別: 実装キット 使うもの: Claude(ブラウザ版で可) 事前に用意するもの: 「本当に来てほしい顧客」と「合わない顧客」の条件を 1 行ずつ。
プロンプト:
あえてターゲット以外を断ることで、本気の読み手を前のめりにさせるキャッチコピーを作ってください。
【商材と本気のターゲット】
- サービス: BtoB マーケの伴走支援(記入例)
- 本気のターゲット: 自社でも手を動かす覚悟があるマーケ責任者(記入例)
- 断りたい相手: 丸投げで成果だけ欲しい会社(記入例)
【表現の基準(必ずこの基準に従うこと)】
- 「〇〇な方には、おすすめしません」「〇〇で満足している方は、この先を読まないでください」の形式
- 断る理由が、サービスの提供価値の裏返しになっていること(単なる挑発は禁止)
- 攻撃的・見下す表現は禁止(BtoB では稟議で複数人が読む前提)
【出力】
- 拒絶型キャッチコピー 10 本(トーン強め 5 本 / 控えめ 5 本)
出力の確認ポイント: - 断る理由を読むと、むしろ提供価値が伝わる構造になっているか - 控えめ 5 本のうち、自社サイトに載せても違和感のない案があるか(強め案は広告 AB テスト用に取り置く)
うまくいかないとき: - 全案が説教くさくなる場合は、「断りたい相手」を人格ではなく状況(予算ゼロ・担当者不在など)で定義し直すと角が取れます
解約率 8% と継続率 92%。同じ事実ですが、印象はまるで違います(フレーミング効果)。
第一印象は最初の一行でほぼ確定します(初頭効果)。デメリットに見える事実も、分母や主語の置き方を変えれば武器になります。事実は変えない、見え方だけ変える——これが最後の型です。
種別: 実装キット 使うもの: Claude(ブラウザ版で可) 事前に用意するもの: 見せ方に迷っている数字・事実のメモ(継続率、成果が出るまでの期間など)。
プロンプト:
以下の事実を、数字を変えずに一番魅力的に見える角度へ言い換えてください。
【伝えたい事実(自社の数字に差し替え)】
- 継続率 92%(= 解約率 8%)(記入例)
- 導入 3 ヶ月で成果が出た企業は 10 社中 7 社(記入例)
【言い換えの基準(必ずこの基準に従うこと)】
- 数字そのものの改ざんは禁止。分母・分子・単位・主語の置き方だけを変える
- ネガティブに読める事実は、割合の反転(解約 8% → 継続 92%)や絶対数への変換(成功率 10% → 100 社が成功)を試す
- 読んだ最初の一言で前向きな印象になる並び順にする
【出力】
- 事実ごとに、言い換えパターンを 5 通り
出力の確認ポイント: - 言い換え前後で数字の意味が変わっていないか(分母のすり替えは NG) - 営業資料・料金ページの表記と矛盾しないか(稟議で突き合わされます)
うまくいかないとき: - どの角度でも良く見えない事実は、コピーで隠さず改善対象として持ち帰るほうが早いです。フレーミングは演出であって隠蔽ではありません
「7 本もあると、どれから使えばいいかわからない」——ここまで読んだ方の自然な疑問だと思います。
適用には順番があります。①で軸を決め、②で約束し、③④で裏付け、⑤⑥⑦で味付けする。1,000 本の検証で、この順番を踏んだコピーにハズレはほぼありませんでした。
実務の回し方は次の 3 ステップです。
選別基準はひとつだけです。「読んだ顧客が、自分の話だと錯覚するか」。迷ったら、実在の顧客 1 社の顔を思い浮かべて読み直してください。
よくある失敗は、AI の出力をそのまま 1 本目から使ってしまうことです。生成は量のための工程で、勝負を決めるのは人間の選別にあります。件名まわりの実践はナーチャリングメール例文 12、コピー以外の業務プロンプトはChatGPT マーケティングプロンプト 25 選が続きの教材になります。
AI はコピーの「型」を無限に出せます。ただし「誰に刺すか」を決めるのは、いまも人間の仕事です。
ターゲットを一人に絞り、変化を約束し、数字と権威で裏付け、心理の型で背中を押す。この順番をプロンプトに転写すれば、コピーの量産と選別は今日から回り始めます。まずはキット①を自社の商材で 1 回実行して、10 本の中から「顧客の顔が浮かぶ 1 本」を見つけるところから始めてみてください。
humbulls の Growth Partner サービスでは、コピー設計を含む BtoB マーケの実行まで伴走しています。定石の全体像は BtoB マーケ AI 活用ガイドにまとめました。